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沖縄戦にスパイはいたのか?


 「スパイ」は便利な言葉である。ほとんどあらゆる不具合はそれで説明出来てしまうからである。この誘惑を断ち切る事がいかに難しいか、一例を挙げよう。苦戦が続くニューギニア戦線のテコ入れを図るべく、1944年4月から竹輸送と呼ばれる一連の輸送作戦が行われる事になった。その初回、これまで使ったことのない航路だったにも関わらず潜水艦の待ち伏せ攻撃に遭い、大損害を蒙った。衝撃を受けた軍は中継地だったマニラへ海軍参謀を派遣、原因調査を行った。しかし、真っ先に疑うべき暗号解読を考慮の外に置き、港湾労働者に潜入したスパイによる通報を原因と結論づけた。冷静な情報分析が可能な時期でもこの有様だから、住民を大規模に巻き込んだ沖縄戦は推して知るべしである。

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どてらい男の沖縄戦


 「どてらい男(どてらいやつ)」は紀州弁で「凄いやつ」を意味し、大阪の商社山善の創業者、山本猛夫氏の立志伝を描いた花登筐の小説のタイトルである。最初『週刊アサヒ芸能』に連載されたが、後に、歌手の西郷輝彦を主役としてテレビドラマ化され、大好評を博した。この「どてらい男」は戦時中、沖縄県の渡嘉敷島にいた。あの集団自決の起きた島である。

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曽野話法 − 砂上論法を斬る(10)

私は別、私の知り合いも別(3)

 自分を棚に上げ、身内に甘いのは一般的に認められる傾向であるが、曽野綾子氏は明瞭さにおいて一頭地を抜いている。武勇伝はネット上で多数見つかるが、ソースを確認できたものをいくつか紹介しよう。

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曽野話法 ー 砂上論法を斬る(9)

私は別、私の知り合いも別(2)

 もう一つ例をあげよう。ルポ・ライターの石田郁夫氏に対する批判である。サンデー毎日の創刊五十周年記念特集(1972.4.30号)で、石田郁夫氏は「渡嘉敷島住民集団自決の真相」と題する記事を書いた。この記事は、曽野氏と同じ情報、つまり、現地調査、赤松隊陣中日誌、赤松隊長への取材に基づいているが、結論が曽野綾子氏と正反対である。赤松氏のインタビューのくだりは次のようになっている。

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曽野話法 - 砂上論法を斬る(8)

私は別、私の知り合いも別

 曽野話法の最大の武器は人攻めであり、その鋭さをこれまで見て来た。しかし、その鋭さは論理ではなく、曽野綾子氏自身を棚上げにすることで可能になっている。

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ゲーテいわく

「地震とはめまいのようなものである」。ある地質学者の本で見つけたせりふだが、さて出典はいずこに。ドイツではほとんど地震が起きない。遙か南のイタリア、ギリシャあたりで起きた地震による揺れの実感をいったものだろうか。ゲーテと地震の接点として考えられるのは、1775 年はキリスト教の万聖節に当たる 11 月1日のリスボン地震である。マグチュード8.5、2011年の東北地方太平洋沖地震には及ばぬが、最大級の規模と推定され、地震動、20m の津波と火災でリスボンの死者は9万といわれる。被害の甚大さもさることながら、カトリックの国ポルトガルの首都が、こともあろうにすべての聖人を記念する日に聖堂もろとも灰燼に帰すとは、人々の喪失感はいかばかりか。ゲーテはこのとき6才、自伝には「神の善意が多少疑わしく思えてきた」とのみある。

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曽野話法 - 砂上論法を斬る(7)

得意技を封じられると(3)

 曽野綾子氏は新潮45の4月号に「『たかが』の精神」と題するコラムを寄せた。荻上チキ氏との対談で、書くかどうか曖昧な返事をした反論である。

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曽野話法 ー 砂上論法を斬る(6)

得意技を封じられると(2)

 今回の産経新聞のコラムも、曽野綾子氏の得意技を封じられたケースである。南アフリカ共和国の大使から公的な抗議を受けたからだ。2月11日のコラムに対して、抗議は2日後、いつもの黙殺パターンが通用しなくなった。それでも17日の朝日新聞に寄せた反論では、批判者を「間違った情報で興奮している人々」と揶揄し、「チャイナタウンやリトル東京はいいものでしょう」と小馬鹿にしたような論点ずらしで逃げ切りを図るところまでは、いつもの調子である。

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スイッチを入れると、すぐに電灯がつくのはなぜか?


 表題を理解していただくには少し説明がいる。電灯がつくのは電線に電流が流れるからであり、電流とは電子の流れである。ところが電子の移動速度を計算してみると恐ろしく遅いのだ。カタツムリ並みなのである。

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陸軍の暗号は安泰だったのか?


 日米開戦の外交暗号やミッドウェー海戦での海軍暗号が解読されていたことはよく知られている。これに対し、陸軍暗号は、こうした破綻が誰の目にも明らかなケースが無かったこともあって、安泰だったとみなされていた。

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Author:さんげつ
技術系の某役所を退職後、あり余る時間を使い、妄説探索の旅へ。理系老人の怪刀乱魔。

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