ゲーテいわく
「地震とはめまいのようなものである」。ある地質学者の本で見つけたせりふだが、さて出典はいずこに。ドイツではほとんど地震が起きない。遙か南のイタリア、ギリシャあたりで起きた地震による揺れの実感をいったものだろうか。ゲーテと地震の接点として考えられるのは、1775 年はキリスト教の万聖節に当たる 11 月1日のリスボン地震である。マグチュード8.5、2011年の東北地方太平洋沖地震には及ばぬが、最大級の規模と推定され、地震動、20m の津波と火災でリスボンの死者は9万といわれる。被害の甚大さもさることながら、カトリックの国ポルトガルの首都が、こともあろうにすべての聖人を記念する日に聖堂もろとも灰燼に帰すとは、人々の喪失感はいかばかりか。ゲーテはこのとき6才、自伝には「神の善意が多少疑わしく思えてきた」とのみある。
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