沖縄戦にスパイはいたのか?
「スパイ」は便利な言葉である。ほとんどあらゆる不具合はそれで説明出来てしまうからである。この誘惑を断ち切る事がいかに難しいか、一例を挙げよう。苦戦が続くニューギニア戦線のテコ入れを図るべく、1944年4月から竹輸送と呼ばれる一連の輸送作戦が行われる事になった。その初回、これまで使ったことのない航路だったにも関わらず潜水艦の待ち伏せ攻撃に遭い、大損害を蒙った。衝撃を受けた軍は中継地だったマニラへ海軍参謀を派遣、原因調査を行った。しかし、真っ先に疑うべき暗号解読を考慮の外に置き、港湾労働者に潜入したスパイによる通報を原因と結論づけた。冷静な情報分析が可能な時期でもこの有様だから、住民を大規模に巻き込んだ沖縄戦は推して知るべしである。
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