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曽野話法 − 砂上論法を斬る(10)

私は別、私の知り合いも別(3)

 自分を棚に上げ、身内に甘いのは一般的に認められる傾向であるが、曽野綾子氏は明瞭さにおいて一頭地を抜いている。武勇伝はネット上で多数見つかるが、ソースを確認できたものをいくつか紹介しよう。

1.東日本大震災の直後、渡部昇一氏との対談(『Will』 2011.6)で

私は定年制に大賛成で、ある程度、歳がいった老人は黙ってろ、と思うんです。

と発言した。この老人の中に曽野氏が含まれていない事は確かである。もし含まれていればこの対談は存在しなかったはずだから。

2.同じ対談で

放射線の強いところだって、じいさんばあさんを行かせればいいんですよ。何も若者を危険にさらすことはない。私も行きますよ。

と発言した。「私も行きますよ」とあるが、2015年4月現在、曽野氏が福島に移住したという話はきかない。

3.曽野氏はカトリック教徒向けの月刊誌『聖母の騎士』の連載「生活のただ中の神」第9章で、『マタイによる福音書』6.1以下を引用しつつ、「聖書はあらゆる意味で自己宣伝に当たるものを禁じている」と読者に説いた。
 しかし、曽野氏は、日本財団の会長職にあった1995年11月から2005年6月まで9年半の間、半年に1回以上の割合で「私は無給」をエッセイあるいは対談で発信した(日本財団データベースによる)。

4.「産休制度は会社にとって迷惑。出産したら会社を辞めなさい」と曽野氏は主張した(週刊現代2013.8.31)。しかし、夫の三浦朱門氏との対談の中で、自身の子育てに関して「子供が生まれたら母が面倒見てくれる」と発言し、三浦朱門氏も「息子は彼女の母親が育てたようなものですね」とフォローした(『夫婦のルール』)。

5.産経コラム(2003.11.28)で、

日本でも外国人入国者に対して、必要ならどんな悪評を受けてでも、入国時に厳重な個人データの調査と整備をしたらいいのである。

と主張した。しかし、その一ヶ月後の産経コラム(2003.12.26 )で、曽野氏の孫がイギリス入国時に係官から旅行の目的や身元をしつこく聞かれたことに腹をたて、「イギリス人には愚かな人種差別が根強い」と毒づいた。

6.産経コラム(2001.11.3)で、

ダイインや、平和のローソクを灯す、平和を祈る音楽会をするなどは、安易な平和指向風パフォーマンスであり、平和を構築しなければならない覚悟の足を引っ張るもの

と批判した。しかし、全世界のカトリック教徒に向かって2001年12月14日に平和への祈りと断食を捧げるよう要請したローマ教皇ヨハネ・パウロ2世に対して、曽野氏が同様の批判をしたという話は聞かない。

7. 曽野氏はカトリック教徒として中絶に反対している(たとえば大阪新聞1997.6.30)。しかし、ペルーのフジモリ政権が30万人以上の女性(大部分は貧しい先住民)に実施した強制不妊手術に対して、曽野氏が会長を勤める日本財団は200万ドルの資金援助を行った(ルモンド紙 2004.5)。


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伝聞説

曽野氏は「ある神話の背景」で、『鉄の暴風』で書かれた隊長の自決命令は、当事者ではない人物からの「伝聞」によるものとしました(実際は、著者は当事者からの聞き取りで書いた)。
だが、2.11の「産経コラム」では、自分も他者から聞いた話を元に人種別の居住区分離説を唱えてます。

攻撃相手には、「伝聞説」をでっち上げて、自分は他者からの伝聞を、差別正当化論に利用しています。

Re: 伝聞説

そうそうこれがありましたね!
これで曽野氏はルビコン川を渡りました。

読者の皆様も、こんなのを知っているというのがありましたら是非コメントをお寄せください。

私が、ネットで見つけたものとしては、
・事業内容は曽野氏の日本財団と変わらないのにNGOピースウィンズ・ジャパンの大西健丞氏を叩いた
があります。
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技術系の某役所を退職後、あり余る時間を使い、妄説探索の旅へ。理系老人の怪刀乱魔。

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