8割削減とは何だったのか? 新型コロナの伝染病モデル (5)
感染状況を知る指標に実効再生産数がある。これは一人の感染者が感染してから隔離されるまでの間に感染させる人数をその時点で評価したものである。ウィルスの感染力と社会の生活様式で基本的に定まると考えられ、感染力の強いウィルスの変異種が出現したとか、あるいは大規模な宴会を開いたというようなことがない限り、安定した値を示すはずである。
ところが、状況にそうした変化が見られないにもかかわらず、実効再生産数が急増することがある。この場合に疑われるのは、外部からの感染者の流入である。
今回この問題を論じる。例として、ヨーロッパのウィルスを旅行者が持ち帰ったために生じたと言われている昨年3月中旬以降の感染拡大を取り上げる。